未来のチョコレート?
「へぇ~、これ面白いな」
院長がスマートフォンを覗き込みながら、うんうんと頷いています。
「にゃ~、また面白そうな記事見つけたの?」 マヤーが縁側から首を伸ばして覗き込みます。
「うん。カカオを使わないチョコレートの記事なんだ。イギリスの会社が開発したみたいでね」
「なんなん♪ カカオなしでチョコレート?どうやって作るの?」 なんじぃが三線を置いて、興味深そうに近づいてきました。
「大麦とイナゴマメを使うんだって。発酵させて特殊な製法で作るらしいよ。去年試験販売したら、なんと1日で売り切れちゃったみたい」
「にゃ~、でも味は違うんじゃないの?」
「実はね、本物のダークチョコレートと食べ比べたら、『非常に似てる』って評価だったんだ。チョコレート好きの私からすると、すっごく気になるなぁ」
「なんなん♪ 院長、チョコレート好きだもんね。でも、なんでカカオを使わないチョコレートを作ろうと思ったの?」
「ああ、それがね、実は環境問題が関係してるんだ。チョコレートって、牛肉や羊肉の次に温室効果ガスを出す食品なんだって。この新しいチョコレートだと、普通のチョコレートより二酸化炭素の排出量を80%も減らせるらしいよ」
「にゃ~!そんなに違うの?」
「そう。それに犬も食べられるんだって。普通のチョコレートに含まれるテオブロミンっていう成分が犬には危険なんだけど、これには入ってないから」
「なんなん♪ それは良いね!うちのヤッギーも食べられるかな?」
「そうそう、砂糖も少なめで、グルテンやパーム油も使ってないみたいだよ。体に優しそうだよね」
「にゃ~、でも院長。カカオ農家の人たちは大丈夫なの?」
「その心配もちゃんと考えられてるみたいだよ。今のカカオ農家さんって、貧困に苦しんでる人が多いんだって。新しい方法で作ることで、その負担も減らせるって会社は言ってるね」
「なんなん♪ 環境にも人にも優しいチョコレートなんだね!」
「そうそう。ヨーロッパでは森林破壊に関係するカカオを使うのを禁止する動きもあるみたいだし、これからどんどん広がっていくかもしれないね」
「にゃ~、私も気になってきたわ。日本でも売り出されたら、院長に感想を聞きに来るわね」
「楽しみだねぇ。志喜屋の皆にも教えてあげなきゃ。玉城の焼き菓子屋さんの『Botchi andante andante』さんとか、興味持つんじゃないかな」
「なんなん♪ 南城スイーツの新商品になったりして!」
秋の午後、チョコレートの未来について語り合う声が、優しい風に乗って広がっていきました。環境のことを考えながら、美味しいものを楽しむ。そんな未来が、少しずつ近づいているのかもしれません。
「あ、そうだ。今度の土曜日に志喜屋の子供会でチョコレート作り教室があるんだった。この話もちょっとしてみようかな」
「にゃ~、いい考えね。子供たちにも環境のこと、考えてもらえるわ」
南城市の穏やかな午後は、いつものように優しい時間が流れていきます。