大里鬼とムーチーの日のお話
静かな昼下がり、岡田整体院の庭先でなんじぃが三線を弾きながら歌を口ずさんでいました。すると、黒猫のマヤーがのんびりと近づいてきました。
「なんなん♪ マヤー、良い天気じゃないかー。今日はゆんたくでもしないかい?」
「ちょうどいいところに来たわね。今度の日曜日に大里であるイベントの話をしようと思っていたところよ」
そこへ院長が出てきて、「おや、またお二人で何かの相談ですか?」と声をかけました。
「院長先生!ちょうどいいところに。12月8日に大里で『うふざとヌムーチー祭』があるって聞いたんですけど、ご存知ですか?」とマヤーが尋ねました。
「ああ、あの大里鬼にまつわるお祭りですね」
「大里鬼?なんなん♪ 怖そうな名前だねぇ」
この時、エンチュが木の陰から飛び出してきました。「へへ~、オイラ、その話知ってるよ!昔々、人食い鬼がいたんでしょ?」
院長は穏やかな笑顔で説明を始めました。「そうですね。昔、首里の金城村に住んでいた兄が人間から鬼となってしまい、大里の洞窟に住みついたという話です。人々は彼のことを『大里鬼』と呼んで恐れていました」
「でも、その鬼には人間の妹がいたんだよね?」とマヤーが続きました。
「はい。妹は兄の噂を聞いて心を傷め、鉄を入れた餅を作って泣く泣く兄である鬼に食べさせ、鬼を退治したそうです。その日が旧暦の12月8日だったことから、この日は『ムーチーの日』として伝えられているんですよ」
「なんなん♪ それで今でもムーチーを食べる習慣があるのかー」
エンチュが急に飛び跳ねました。「あ!そういえば、今年の『うふざとヌムーチー祭』では無料でムーチーが配られるって聞いたよ!」
「そうそう」とマヤーが続けます。「昔遊びもできるし、ムーチー作りや黒糖作りも体験できるのよ。演舞も見られるわ」
「へぇ~、面白そうだねぇ。なんなん♪ 他にも実は大里には『真手川原遺物散布地』という場所もあってね。そこには『マテガー』という名前の由来があるんだよ」
院長が説明を加えました。「伝説では、妹が首里に逃げ帰ろうとした時、鬼になった兄が『待て!』と叫びながら追いかけたことから、その場所が『マテガー』と呼ばれるようになったそうです」
「わぁ、すごい話ね」とマヤーがため息をつきます。「南城市にはこんな面白い伝説が残っているのね」
「なんなん♪ みんなで『うふざとヌムーチー祭』に行ってみない?きっと楽しいと思うよ」
「そうだね!」とエンチュが跳びはねながら言いました。「オイラ、ムーチー作り体験やってみたいな~」
「私も行きたいわ」とマヤーも賛同します。「演舞も見てみたいし」
院長は微笑みながら「では、みなさんで行きましょうか。健康と無病息災を願うお祭りですからね。きっと良い経験になりますよ」と締めくくりました。